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2026年10月17日人生に必要なお金

試算では、繰上返済とNISAの向きは金利と利回りの開きで決まる

「試算では、繰上返済とNISAの向きは金利と利回りの開きで決まる」のアイキャッチ

※本記事には広告(アフィリエイトリンク)を含みます。

ボーナスの残りが、手元に100万円あるとします。住宅ローンの繰上返済に回すか、NISAのつみたてに回すか。ローンが残っている人向けの記事です。

借りているお金がある状態を、いまの僕は重く見ます。これは僕の感じ方で、計算の結論ではありません。

僕自身は、20代から30代の前半が荒れていました。お酒とギャンブル、その場の買い物。貯金はゼロで、借金もありました。

計算のほうは、条件を決めれば出ます。金利1.0%・残り25年・残高3,000万円のローンに100万円を入れると、減る利息は278,387円でした。

同じ100万円を年3%で25年運用できたとすると、増えるのは1,093,778円。差は815,391円です。

片方は条件が変わらなければ確定する軽減額で、もう片方は想定にすぎません。この記事では金利・想定利回り・残り年数を1つずつ動かし、自分の数字を出す式まで進みます。

今回の架空モデル

この記事の計算で置いた条件です。

  • ローンは元利均等返済。毎月の返済額が一定になる形で計算しています
  • 金利は全期間変わらないものとして計算。変動金利の上下は入れていません
  • 表の0.5%・1.0%・1.5%は、この記事のために置いた水準です。フラット35の2026年9月適用分(融資率9割以下で年3.460%〜年5.690%)とは別のものです
  • 繰上返済は期間短縮型を基準にします。返済額軽減型は1か所だけ示します
  • 繰上返済の手数料・保証料・事務手数料は0円として計算
  • 運用は年1回の複利。想定利回りの年3%・年5%は仮の数値で、将来のリターンを約束するものではありません
  • NISAの枠内で非課税として計算。売買手数料・信託報酬・物価の変動は入れていません
  • 住宅ローン控除以外の税は数えません。控除を受けている期間に繰上返済をすると控除額も減るため、目安を本文の表に置きます

※制度や選択肢を比べるための架空の条件です。実在の人物・数値ではありません。

100万円で減る利息は、278,387円でした

まず1件だけ、条件を固定します。残高3,000万円・金利1.0%・残り25年・元利均等返済。この条件の毎月の返済額は113,062円になります。

25年で払う利息の合計は3,918,521円。借りた元金のほかに、これだけ上乗せして返す計算です。

ここへ100万円を期間短縮型で入れます。毎月の返済額は変えないまま、完済が11.3回ぶん早まりました。年に直すと約0.94年です。

減った利息は278,387円でした。入れた100万円に対して、払わずに済む利息が27.8%にあたります。

同じ100万円をNISAで年3%・25年運用できたとすると、25年後は2,093,778円。増える額は1,093,778円で、利息の軽減額の約3.9倍にあたります。

100万円をNISAで年3%・25年運用できた場合に増える額(想定)

約109万円

同じ100万円を繰上返済に回して減る利息は約28万円(金利1.0%・残高3,000万円・残り25年)

大きさだけを見れば、運用の側が上に来ます。ただしこの2つは確からしさが違います。278,387円は条件が変わらなければ動かない金額で、1,093,778円は年3%で回り続けた場合の想定です。

手数料は、どちらの側も0円として計算しました。ただし運用側で外した売買手数料と信託報酬は、実際には0円になりません。

繰上返済にはもう1つ、返済額軽減型という方法があります。100万円を、期間ではなく毎月の返済額を下げるほうに使う形です。

100万円の使い道 この条件での効果
期間短縮型で繰上返済 利息が278,387円減る/完済が約0.94年早まる
返済額軽減型で繰上返済 毎月の返済が3,769円減る(113,062円→109,293円)
NISAで年3%・25年運用 1,093,778円増える(想定・非保証)

住宅金融支援機構は、同じ額を繰り上げるなら利息の軽減効果は期間短縮型のほうが大きい、と説明しています。毎月3,769円が浮くことと、利息が278,387円減ること。どちらを取るかは、いま家計のどこが重いかで変わります。以降の計算は、利息の側が見える期間短縮型でそろえます。

金利を0.5%から1.5%まで動かす

動かす変数は3つあります。1つめはローンの金利です。残高3,000万円・残り25年・繰上額100万円は基準のまま固定し、金利だけを変えます。

100万円の繰上返済で減る利息(残高3,000万円・残り25年・期間短縮型)

金利0.5%130,848円
金利1.0%278,387円
金利1.5%444,640円

0.5%から1.5%へ上がると、減る利息は約3.4倍になりました。繰上返済の効き目は、金利の高さにほぼ比例して伸びます。

NISA側の数字は、ここでは動きません。100万円を年3%で25年運用した場合の増加額は、ローンの金利がいくつでも1,093,778円のままです。

繰上返済が消すのは、これから払う利息です。金利はその単価にあたります。運用の側は、ローンの条件が届かない場所で増えていきます。

金利1.5%まで上げても、この前提では順番が入れ替わりませんでした。444,640円と1,093,778円の開きは649,138円です。

想定利回りを年5%にすると、どこまで開くか

次はNISA側です。ローンの条件は基準のまま、想定利回りだけを動かします。

100万円を年3%で25年運用した場合、25年後は2,093,778円。年5%なら3,386,355円になります。

想定利回り 25年後の金額 増える額
年3% 2,093,778円 1,093,778円
年5% 3,386,355円 2,386,355円

増える額は1,093,778円から2,386,355円へ、2.2倍に広がりました。利回りは増えた分にも毎年かかるので、金利のように比例では動きません。

この2つの数字を、278,387円と同じ重みで置くことはできません。片方は契約書に書かれた利率から出た額で、こちらは「そうなったら」の額です。年3%も年5%も、下振れする年があります。

複利は年1回で計算しました。月ごとの複利にすると年3%で2,115,020円になり、21,242円ほど大きく出ます。控えめな側の数字を使っています。

NISAのつみたては、いまも楽天証券に置いたままです。選び直した結果ではなく、最初に開いた口座がそこだったというだけです。

続けている理由は、利回りを当てられるからではありません。動いている形を崩さないほうが自分には合っている、といまは感じています。

残り20年と残り25年で、効き方が変わります

3つ目は残り年数です。金利1.0%・残高3,000万円・繰上額100万円に戻し、残り年数だけを25年から20年へ短くします。

残り20年で100万円を繰り上げると、減る利息は217,325円。残り25年の278,387円より、61,062円小さくなりました。

繰上返済はこれから発生する利息を消す操作なので、残りが短いほど消せる量も減ります。

運用の側も同じ方向に動きます。年3%で20年なら増える額は806,111円で、25年の1,093,778円より287,667円少なくなりました。

残り年数 繰上返済で減る利息 NISA・年3%で増える額 差
20年 217,325円 806,111円 588,786円
25年 278,387円 1,093,778円 815,391円

年数が短くなると両方とも縮みますが、縮み方は運用側のほうが急です。差そのものは815,391円から588,786円まで小さくなりました。

同じ年数が、片方では残っている利息の量として、もう片方では複利が働く回数として効いています。

差を作っているのは、金利と利回りの開きです

3つの変数を1枚に並べます。繰上額100万円と期間短縮型は固定し、想定利回りは残り年数と同じ年数で計算しました。

残高 金利 残り年数 繰上返済で減る利息 NISA・年3%で増える額 差
3,000万円 0.5% 20年 103,446円 806,111円 702,666円
3,000万円 1.0% 20年 217,325円 806,111円 588,786円
3,000万円 1.5% 20年 342,641円 806,111円 463,470円
3,000万円 0.5% 25年 130,848円 1,093,778円 962,930円
3,000万円 1.0% 25年 278,387円 1,093,778円 815,391円
3,000万円 1.5% 25年 444,640円 1,093,778円 649,138円

どの行でも差はプラスで、想定利回り3%の側が上に来ました。金利を3倍にしても、減る利息の最大は444,640円。年3%の1,093,778円には届きませんでした。

残高を2,000万円に落としても、この形は変わりません。金利1.0%・残り25年なら減る利息は275,396円で、3,000万円のときとの違いは2,991円でした。

残高は、繰上返済の効き目をほとんど動かしませんでした。

この表がプラスに見えるのは、金利0.5〜1.5%と想定利回り3〜5%という幅を置いたからです。金利がもっと高い場合、あるいは想定利回りをもっと低く見る場合には、差は縮み、向きが変わることもあります。

前提に挙げたフラット35の2026年9月適用分は、年3.460%からの水準でした。この表に置いた0.5〜1.5%より高く、そこまで金利が上がれば向きは入れ替わります。

つまり、どちらが得かはローンの金利と、自分が現実的だと思う利回りの、その開き方で決まります。金利と利回りの水準そのものではありません。開きが決めるのは向きです。差の大きさのほうは、残り年数でも動きます。

あなたのローンなら、いくらになるか

償還予定表がなくても、目安までは電卓で出せます。まず繰上返済の側です。

繰上返済で減る利息の目安 = 繰り上げる額 × ローン金利 × 残り年数

100万円・金利1.0%・残り25年なら、100万円×0.01×25で250,000円。正確に計算した278,387円に対して、89.8%の水準にとどまりました。

この近似は、いつも実際より低く出ます。繰り上げた元金の効果が残りの期間ずっと効き続けるぶんを、単純なかけ算では拾えないからです。

条件(残高3,000万円) 近似式の答え 正確な値 近似は正確値の何%か
金利0.5%・残り20年 100,000円 103,446円 96.7%
金利1.0%・残り25年 250,000円 278,387円 89.8%
金利1.5%・残り20年 300,000円 342,641円 87.6%
金利1.5%・残り25年 375,000円 444,640円 84.3%

ずれは金利が高いほど、残り年数が長いほど開きます。この表の範囲では96.7%から84.3%。低めに出る道具だと思って使ってみてください。

運用側は、そのまま複利の式になります。

運用で増える額の目安 = 元の額 ×(1+想定利回り)の残り年数乗 − 元の額

100万円に1.03を25回かけると2,093,778円。ここから元の100万円を引いた1,093,778円が、増える額です。

2つを引き算した数字が、あなたの条件での差になります。符号がどちらを向いたか。そこだけ、まず見てみませんか。

表に載らない条件が4つあります

ここまでの数字は、金利と利回りと年数だけで出したものです。実際の判断には、表に入っていない条件が混ざります。

1つめは住宅ローン控除です。 控除額は年末の借入残高の0.7%で決まるので、残高を100万円減らすと、その年の控除も減る計算になります。

残りの控除年数 控除が減る額の目安
3年 21,000円
5年 35,000円
8年 56,000円
10年 70,000円

いちばん長い10年でも70,000円です。この条件の軽減額278,387円を、裏返すほどの大きさではありません。

100万円×0.7%×残り年数という単純計算です。実際は元金の返済でも残高が下がるので、これより小さくなる方向に傾きます。借入限度額や住宅の性能でも変わるため、その年の控除額は確定申告の書類で確かめてください。

2つめは手元の現金です。 100万円をローンに入れた翌月に医療費が出ても、そのお金はもう引き出せない場所にあります。

3つめは団体信用生命保険です。 加入しているなら、残高はそのまま保障される額でもあります。繰り上げて残高を減らすことは、肩代わりされる金額を減らすことでもあります。条件は契約ごとに違うので、自分の保険証券で確かめてください。

4つめは、続けられるかどうかです。 数字の上で正しいほうと、自分が選び続けられるほうは、同じとはかぎりません。

表に載らない条件 表の答えをどちらへ動かすか
住宅ローン控除の期間中 繰上返済で浮く額が小さくなる
手元の現金が薄い 繰り上げた100万円は引き出せない
団体信用生命保険に加入している 残高が減ると、肩代わりされる額も減る
続けられるかどうか 表には出ない

上の3つは、条件さえ分かれば数字か契約書で確かめられます。4つめだけは、書類のどこにも書いていません。判定できるのは自分だけです。

続けられるほうを選ぶ、という話

合理的に正しいことと、続けられることの違いを扱った本があります。モーガン・ハウセルの『サイコロジー・オブ・マネー』(ダイヤモンド社)です。

僕が使っているもの(読んだ本)

1〜3年前に、紙の単行本で読みました。

困った点から書きます。この本に、手を動かすための手順や計算式はほとんどありません。手元の100万円をどちらに回すかという問いにも、答えは書かれていません。

どんな人か
向く人 数字が出たあとで、それでも選べない自分のほうを考えたい人
向かない人 今日の判断に使う計算式が欲しい人。ローンの条件を詰めたい人

読んで変えたのは2つです。貯める額を「収入から自我を引いたもの」として考えるようになったこと。「ここまでで十分」という線を、自分で決めたことです。

著者自身が自宅の住宅ローンを繰上返済で完済した話も、この本に出てきます。数字の上では最適でないと認めたうえで、そう決めたという書き方です。

合理的であることと、自分にとって現実的であることは別だ。そういう趣旨の章です。表がプラスを示していても、そちらを選べない人がいる理由の説明にはなります。

読んだ内容そのものは、この本のレビュー記事にまとめました。いま出ている版は、販売ページ側で確かめられます。(広告)

楽天ブックスで見る(広告)

ここに書いたのは2026年9月時点の話です。取り扱いは変わるので、最新は販売ページ側で見てください。

3つの選び方

買う:版と条件を確かめたうえで、上のリンク先で決める。
買わない:この記事の表と、手元の償還予定表があれば足ります。読むだけなら、図書館で借りる手もあります。
後で決める:先に自分の条件で差額を出し、それから読むかを決める。

3つのどれを取っても、上の表の数字は動きません。

決まっている数字から先に読む

この2つを並べるとき、僕は金利のほうを先に見ます。想定利回りは仮の数値です。いま適用されている金利は、契約書と返済予定表で確かめられます。変動なら、その金利も動きます。

決まっている数字と、決まっていない数字。同じ表に並べたときは、決まっているほうから読むようにしています。

使う時期が近いお金をどこに置くかは、貯金と投資のどちらに回すかの記事で別に書きました。

そのうえで、僕はNISAのつみたてを止めない側にいます。同時に、借りているお金を先に減らしたい気持ちも残っています。

この2つは、いまも並んだままです。20代に借金があったころの名残だと、自分では思っています。

100万円を片側へ寄せる決め方も、半分ずつにする決め方も、この表の計算は同じように使えます。

最後に、数字を1つだけ残します。

金利1.0%・残高3,000万円・残り25年に100万円を繰り上げたときに減る利息

27.8万円

同じ100万円を年3%で25年運用できた場合に増える額は約109万円(想定・非保証)

278,387円。あなたのローンでこの数字がいくつになるかは、金利と残り年数を式に入れれば出ます。

出た数字が想定利回りの側に届いていても、届いていなくても、決め手はそこだけではありません。表に載らない4つの条件を、もう一度並べてから決めてください。

出典・計算方法

この記事の数字は、次の4つのページから取りました。どれも2026年9月7日に開いています。数えていないものは、後ろにまとめました。

  • 期間短縮型と返済額軽減型の定義、同額なら利息の軽減効果は期間短縮型のほうが大きいこと、繰上返済の手数料が無料であること(窓口は100万円以上、インターネット手続きは10万円以上): 住宅金融支援機構「繰上返済(個人住宅融資の場合)」(常設の制度説明ページ・公表年月の表記なし) https://www.jhf.go.jp/hensai/kuriage/index.html
  • 返済期間21年以上35年以下の金利が融資率9割以下で年3.460%〜年5.690%(2026年9月適用分): 住宅金融支援機構【フラット35】の金利情報 https://www.flat35.com/kinri/index.html
  • 住宅ローン控除の控除率が年末残高の0.7%であること、2022年以降の入居で控除期間が13年(新築等)であること、借入限度額が住宅の性能で変わること: 国税庁 タックスアンサーNo.1211-1(ページに版・更新年月の明記は確認できませんでした) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1211-1.htm
  • NISAの非課税保有期間が無期限であること、つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円、生涯の非課税保有限度額1,800万円(うち成長投資枠1,200万円): 金融庁 NISA特設ウェブサイト「NISAを知る」 https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/know/index.html
  • 計算の前提: ローンは元利均等・全期間固定として計算しました。毎月返済額は残高×月利÷(1−(1+月利)の−回数乗)で出しています。期間短縮型で減る利息は、毎月返済額×短縮回数−繰上額です。
  • 検算: 閉じた式と、二分探索・月次シミュレーションの2通りで解きました。毎月返済額と総返済額は一致し、減る利息の差は10円です。
  • 運用の将来価値は年1回の複利(元の額×(1+想定利回り)の年数乗)で計算しました。月ごとの複利にすると年3%・25年で21,242円大きく出ます。
  • 数えていないもの: 繰上返済の手数料・保証料・事務手数料、売買手数料・信託報酬。住宅ローン控除以外の税、物価の変動、変動金利の見直し、団体信用生命保険の条件も入れていません。
  • 住宅ローン控除の減少額は、単純化した仮定にもとづく目安です。「繰上返済の直後から控除の終わりまで、年末残高が100万円低いまま」という置き方をしました。実際は元金の返済でも残高が下がるため、これより小さくなる方向に傾きます。税務の判断は個別の条件で変わります。
  • 想定利回りの年3%・年5%は、変数として置いた仮の数値です。過去の実績でも、将来の約束でもありません。
  • ここに書いた制度・金利・税率は、あとから変わります。使う前に各公式ページで最新を見てください。特定の金融機関や商品をすすめる記事ではありません。
  • 『サイコロジー・オブ・マネー』。出版社はダイヤモンド社、著者はモーガン・ハウセル、訳は児島修さん。本文で触れた章の説明は引用ではなく、僕の言葉での要約です。価格は変わるため本文には書いていません。

これは僕の選択。正解ではありません。選ぶのはあなたです。

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