2026年9月7日
『サイコロジー・オブ・マネー』は、買うほどの本か。刺さった2章だけで答える
※本記事には広告(アフィリエイトリンク)を含みます。
「名前は知っているけれど、当たり前のことが書いてあるだけでは」。そう思って迷っている人に向けて書きます。
僕の答えです。全部の章が新しい発見になる本ではありませんが、刺さる章が1つでもあるなら、買って手元に置く価値はありました。
向いているのは、お金の失敗をまだ自分の性格のせいにしている人。
向かないのは、明日から使える投資の手順や商品名を探している人。
要約はしません。ネットにいくつもあります。かわりに書くのは、僕に刺さった2つの章と、僕の過去の重なりだけです。
「当たり前のことしか書いていない」のでは?
感想を探すと、この声によく当たります。「目新しいものはなかった」「具体的な手法がない」。読む前の僕も、たぶん同じ側にいました。
書いてあることの多くは、たしかにどこかで聞いた話です。使いすぎない。まず生き残る。他人と比べない。
知っているのと、できているのは別です。使いすぎないほうがいいと分かりながら、僕は長いあいだ使いすぎていました。
ただ、僕がこの本で変わったのは知識の量ではありませんでした。自分の過去の失敗に、名前がついたことです。
なので、全部の章を順番に紹介する書き方はやめます。刺さった2つの章だけで答えます。第9章「本当の富は見えない」と、貯金について書かれた第10章です。
第9章で、僕は自分の20代を思い出した
第9章の主題は、富は目に見えない、という一点にあります。使わずに残っているお金が富で、使ってしまったぶんは、もう富ではない。
その手前の章に、高級車の話があります。高い車を見た人は、乗っている人に憧れているのではない。自分がそれに乗っている姿を思い浮かべているだけだ、という指摘です。
読みながら、自分のことだと思いました。
20代から30代のはじめ、僕は車と時計とブランド品にお金を使っていました。欲しかったというより、自分がどういう人間かを持ち物で示そうとしていたのだと思います。
残高が減っていくと、一度で取り返す方へ向かいました。ギャンブルです。やり方は書きません。真似する価値のないものでした。
残ったのは、借金と、貯金ゼロの通帳です。
第9章を読んで分かったのは、あのころ買っていたのが物ではなかった、ということでした。僕が買っていたのは、見られ方です。
見られ方に、残高は残りません。
貯金は、収入から自我を引いたもの
もうひとつが、貯金について書かれた第10章です。この本には、貯金をこう置く考え方が出てきます。
貯金 = 収入 − 自我
収入を増やさなくても、自我のほうを小さくすれば、残る額は増える。式にすると、それだけの話です。
僕がやっていたのは真逆でした。入ってきたぶんを、見られ方に使っていた。だから残高は、ゼロのままでした。
この式が助けになるのは、収入をしばらく増やせない時期だと思います。昇給の見込みが立たないときでも、引く数のほうは今日からでも動かせます。
読んでから、貯める基準を1つ変えました。「いくら貯めるか」ではなく、「収入から自我を引いたら、いくら残るか」で見るようにしたんです。
もうひとつ変えたのは、上限を決めたことです。「これ以上は増やさなくていい」と思える資産の目安額を、1つだけ置きました。
金額は書きません。暮らしの形が違えば、僕の額に意味はないからです。決め方だけ書くと、増やす目標を立てるのではなく、増やさなくていいと思える線を先に引く。順番を入れ替えただけです。
増やす話が終わったわけではありません。ただ、どこまで行けば足りるのかを自分で決めていないと、いくら増えても同じ焦りが続きます。そこだけは、はっきりしました。
手順と数字は、ほとんど出てこない
困った点を書きます。
この本には、具体的な手順がありません。何をいくら買うか、口座をどう分けるか、家計をどう記録するか。そういう話は出てきません。
数字も少ないです。逸話と考え方が中心で、表や計算はほとんど出てきません。読み終えても、明日やることのリストは手に入りません。
僕はこれを、不満としては受け取りませんでした。手順の本ではなく、手順を選ぶ前の頭を整える本だと思ったからです。
ただ、手順を期待して買うと外れます。ここは先に書いておきます。
事例がアメリカ中心である点も同じです。日本の制度やこれからの物価を知りたい人には、遠く感じる箇所があるはずです。
買わなくていい人
条件で書きます。次のどれかに当てはまるなら、今は買わなくていいと思います。
- 具体的な投資の手順や商品名を知りたい人。この本では手に入りません。
- 同じ種類の本をもう何冊も読んでいる人。重なるところが多いはずです。
- 米国の事例が中心であることが気になる人。前提が日本とは違います。
- 今月の家計が回っていない人。先に要るのは考え方より、目の前の数字だと思います。
当てはまった人は、ここで読むのをやめて大丈夫です。読まなくても、困りません。
僕が読んだのは、この本です
サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット
お金の増やし方ではなく、お金を前にした自分の振る舞いを扱う本です。
僕が使っているもの(読んだ本)
紙の単行本を、1〜3年前に読みました。刺さったのは、第9章と第10章の2つです。
向く人:過去のお金の失敗を、まだ自分の性格の問題だと思っている人。
向かない人:明日から使える手順と数字を探している人。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者・訳 | モーガン・ハウセル/児島修 訳 |
| 出版社 | ダイヤモンド社 |
| ISBN | 9784478114131 |
扱っている版と在庫は、楽天ブックスの商品ページで確認できます。(広告)
僕が読んだのは紙の単行本ですが、どの形で扱われているかは時期で変わります。
サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット [ モーガン・ハウセル ]
楽天ブックスで見る(広告)
2026年9月時点の情報です。価格や在庫は、販売ページで確認してください。
買う:上のブロックから版と在庫を確認して、決める。
買わない:図書館の蔵書検索で探して、第9章と第10章だけ読む。
後で決める:今月の家計を一度書き出して、それから必要かどうかを考える。
3つとも、僕はまっとうな選び方だと思っています。
出典・計算方法
この記事で触れた本と、章の表記について。
- モーガン・ハウセル『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』児島修 訳、ダイヤモンド社、2021年12月刊。ISBN 9784478114131。
- 章題は紹介するサイトによって表記が少し違います。第10章は「貯金の価値」と「とにかくお金を貯めよう」の両方の表記を確認しました。本文の説明は引用ではなく、僕の言葉での要約です。
- 書誌は出版社の書籍ページで確認しました(2026年9月参照)。価格は変わるため、本文には書いていません。
- 感想は僕個人のものです。同じ本を読んで、別の章が残る人もいると思います。
これは僕の選択。正解ではありません。選ぶのはあなたです。