2026年7月31日
人生で一番お金がかかるのはどれ?8つの大きな出費をランキングにしてみた
人生で一番お金がかかるのはどれ?8つの大きな出費をランキングにしてみた
いちばん大きい行は約7,900万円、いちばん小さい行は約52万円。人生の大きな出費を8つ並べたら、上と下で150倍ちかい差がつきました。
僕は長いあいだ、いちばん高い買い物は家だと思っていました。表にしてみると、家は1位ではありません。
この記事では、老後・住宅・教育・車・保険・介護・結婚・出産の8つを、総額と「月いくら」という2つの物差しで並べます。物差しを変えると、順位が動きます。
大きなお金がこれから来る30〜40代のあなたへ。まず、表を1枚見てください。
今回の架空モデル
老後は夫婦2人、65歳から90歳までの25年で置きました。教育費は子ども1人、高校まで公立で大学は私立。車は200万円を約8年ごとに買い替えて、25歳から75歳までの50年で6台、維持費は月2万円とします。
月額は、総額を払う期間で割っただけの数字です(介護だけは一時費用と月々の費用を分けて示しています)。ローンの利息、運用、物価の変化は入っていません。
※制度や選択肢を比べるための架空の条件です。実在の人物・数値ではありません。
総額の1位は、家ではなく老後の生活費でした
8つを総額の大きい順に並べました。右の2列に「払う期間」と「月に直すと」を足してあります。総額だけだと桁が大きすぎて、目の前の家計とつながらないからです。
読むのは3つの列だけです。総額、それを払い終えるまでの期間、ひと月あたりに直した金額。この3つを横に並べたものが、今回の中身になります。
| 順位 | イベント | 総額のめやす | 払う期間 | 月に直すと |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 老後の生活費(夫婦2人) | 約7,900万円 | 25年 | 約26.4万円 |
| 2位 | 住宅(土地付注文住宅) | 約5,000万円 | 35年 | 約11.9万円 |
| 3位 | 車(生涯・架空モデル) | 約2,400万円 | 50年 | 約4万円 |
| 4位 | 教育費(子ども1人) | 約1,100万円 | 19年 | 約4.8万円 |
| 5位 | 生命保険(世帯) | 約1,060万円 | 30年 | 約2.9万円 |
| 6位 | 介護(親など1人分) | 約540万円 | 4年7か月 | 月9万円+一時費用 |
| 7位 | 結婚(挙式・披露宴) | 約300万円 | ほぼ一時 | — |
| 8位 | 出産 | 約52万円 | 一時 | — |
多くの行は、一度に払う金額ではありません。何年〜何十年かの合計です。ここが、この表を落ち着いて見られる入り口になります。
右端が「—」の行が2つあります。7位の結婚と8位の出産です。数か月のうちに払い終わるお金なので、月額に直す意味がありません。結婚・出産は、8つの中でもとくに払う期間が短い2つです。
4位の教育費を見てください。子ども1人を高校まで公立、大学は私立で通した19年ぶんです。幼稚園〜高校まですべて公立なら約614万円、すべて私立なら約1,969万円まで動きます(大学費用は含みません)。平均の顔をした数字ほど、条件しだいで大きく振れます。
1位の根拠は総務省の家計調査です。2025年平均で、65歳以上の夫婦だけの無職世帯は、生活費が月26.4万円でした。これが65歳から90歳まで25年つづくと、合計はこうなります。
老後の生活費の総額(夫婦2人・25年)
約7,900万円
総務省 家計調査 2025年平均をもとに、月26.4万円×12か月×25年で算出
7,900万円の請求書が、ある日まとめて届くわけではありません。この大部分をまかなうのは年金です。年金を差し引かないまま総額だけを見ると、数字が重くなりすぎます。
同じ調査で、年金などの収入と生活費の差も見てみます。生活費から収入を引いた残りが、毎月の持ち出しです。その数字は、ここまで小さくなりました。
毎月の不足額(夫婦2人・2025年平均)
約4.2万円
可処分所得22.2万円と、消費支出26.4万円の差(総務省 家計調査 2025年平均)
この4.2万円が25年つづくと、合計は約1,270万円になります。7,900万円のうち、自分で用意する部分の大きさはこちらです。
老後だけをもう少し細かく見たいときは、老後2,000万円の記事に不足額と年数の関係を書いています。
月いくらに直すと、上がってくる行がある
物差しを月額に変えます。次の表は、右の列の「総額では」と見くらべてください。総額の順位と食い違う行が、このランキングの見どころです。
| 月額の順位 | イベント | 月に直すと | 総額では |
|---|---|---|---|
| 1位 | 老後の生活費 | 約26.4万円 | 1位 |
| 2位 | 住宅 | 約11.9万円 | 2位 |
| 3位 | 介護 | 月9万円+一時費用 | 6位 |
| 4位 | 教育費 | 約4.8万円 | 4位 |
| 5位 | 車 | 約4万円 | 3位 |
| 6位 | 生命保険 | 約2.9万円 | 5位 |
総額6位の介護が、月額では3位に上がります。差を作っているのは期間です。介護は平均4年7か月という短いあいだに、まとまった金額が集まります。
「月9万円+一時費用」という書き方にも理由があります。始まるときにまとめて出るお金が、平均47.2万円あるからです。毎月の9万円とは別に届きます。
逆に、総額3位の車は月額で5位まで下がります。50年に薄く広がるぶん、月々の工夫で動かせるお金です。
保険も同じ形をしています。世帯が払う保険料は、生命保険文化センターの調査で年間平均35.3万円。月2.9万円を30年つづけて、約1,060万円になりました。
総額の順位は金額の大きさを教えてくれます。月額の順位が教えてくれるのは、家計にかかる重さのほうです。
僕は金額の順ではなく、来る順で見ています
この表を作って、いちばん驚いたのは老後ではありませんでした。車と保険です。一度に大きく払う場面がないのに、生涯で足すと三大支出に近づいていました。
そこで僕は、8つを金額の大きい順ではなく、自分に来る順に並べ替えて見ています。先に届く行から手をつけたほうが、一度に考える量が減るからです。
40代の家計だと、子どもの進学も親の介護も、老後より手前に来ます。総額の6位が、いちばん先に届くこともあります。
どの行が消えて、どの行が残るか
よく聞くのは「三大支出は住宅・教育・老後」という並びでしょうか。3つが大きいのは表のとおりです。ただ、8つのうちどれが上に来るかは、暮らしの形で入れ替わります。
結婚しない人生なら、教育費と結婚の行は消えます。かわりに1人分の老後と、親の介護が大きくなります。賃貸をつづけるなら、住宅の行は35年で終わるローンではなく、一生つづく家賃に変わります。車が要る土地に住んでいれば、車は削る対象ではなく生活の土台です。
この見方が合うのは、大きな出費がこれから来る30〜40代です。住宅ローンや教育費を払い終えた人なら、老後と介護の2つに絞ったほうが早いと思います。どの順で備えるのが正解か、決めるつもりはありません。
金額の大きさより、届く順番で見るほうを、僕は選んでいます。
持ち帰る数字は、7,900万円ではありません
1つだけ数字を残すなら、月4.2万円のほうです。老後の総額のうち、自分で埋める部分の大きさがこれでした。
総額は、払う期間で割ると家計の言葉になります。あなたの表でも、気になる行を1つ選んで割ってみてください。
割ったところで、総額が小さくなるわけではありません。それでも、8つの請求書が同時に届くわけではないと分かります。
分かったところから、手前の行に手をつけられます。順番だけ決めておけば、あとの行は先に延ばしてかまいません。僕も、この順番で手前の行から見るようにしています。
出典・計算方法
この記事の数字は、次の調査からとりました。老後の生活費と不足額は総務省「家計調査報告(家計収支編)」2025年平均(2026年2月公表)。住宅は住宅金融支援機構「2024年度フラット35利用者調査」(2025年7月公表、土地付注文住宅5,007万円・マンション5,592万円)。教育費は文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(2024年12月公表、幼稚園〜高校すべて公立で約614万円・すべて私立で約1,969万円)と「私立大学等の令和7年度入学者に係る学生納付金等調査」(2025年12月公表)から、公立+私立大学4年の組み合わせで約1,100万円と算出。生命保険は生命保険文化センター「2024年度 生命保険に関する全国実態調査」(2025年1月発行、世帯年間払込保険料 平均35.3万円)。介護費用も同調査(一時費用 平均47.2万円・月額 平均9.0万円・期間 平均55.0か月)。結婚はリクルートブライダル総研「結婚マーケット調査2025」(2026年1月公表、挙式・披露宴実施者の総額 平均298.6万円)。出産は厚生労働省の審議会資料(2025年公表、令和6年度の正常分娩の全国平均 約52万円。出産育児一時金は原則50万円)。
車の総額と各月額は、冒頭に置いた前提による単純計算です。税金、手数料、ローン利息、運用、物価の変動は入れていません。平均額や制度は更新されます。将来を保証するものではありません(2026年7月参照)。