2026年9月30日お金と心
転職した同期がうらやましいのに、辞めたいわけじゃない。この気持ちは何だろう
「辞めたいわけじゃない。でも、このまま10年、同じ毎日が続くのかな」。転職した同期の話を聞いたあと、そんな声が頭から離れないことがあります。
僕にも、大きな不満はないのに、このままでいいのかなと思った時期がありました。帰るとき、今日も同じ一日だったな、と思う。休みの日は楽しいのに、仕事に戻ると気持ちが沈んでいました。
おもちの暮らし相談室の新しい動画は、同じ気持ちを抱えたらんたんが主人公です。物語は架空のもので、登場人物も相談の場面も創作です。
この記事では、その落ち着かなさが何を欲しがっているのかを考えます。らんたんの話と僕の場合を、順に並べます。
「最近どう?」に「相変わらず」と答えたあと
らんたんは、同期が転職したと聞いて、自分は何も変わっていないと感じます。最近どう、と聞かれて、相変わらず、と答えました。うそではないのに、帰ってからほかに話すことはなかったかと考えてしまいます。
休日は楽しく過ごしています。それでも帰り道では、また月曜日か、という気持ちになる。日曜の夜に開いた来週の予定帳には、月曜から金曜まで同じ仕事が並んでいます。
店主のぱぱんに、同期と同じ仕事がしたいのかと聞かれ、らんたんはそうではないと答えます。うらやましかったのは、新しい話をしている同期の姿でした。
うらやましさと、辞めたい気持ちは、別々に数えていい
らんたんは、来年の自分がだいたい見えてしまうのが少し怖い、とも話します。この感じに近いことを、転職した人にたずねた調査があります。
前の職場で、キャリアに停滞感があった人
52.6%
2025年に転職した正社員への調査。マイナビ キャリアリサーチLab「転職動向調査2026年版(2025年実績)」2026年3月公表
これは2025年に転職した正社員への調査で、辞めていない人の割合ではありません。僕の数字でも、あなたの数字でもないんです。言えるのは、転職した人の半分ほどが、前の職場で似た感覚を持っていた、というところまで。停滞感が転職の理由だったのかも、停滞感を持つ人のうちどれだけが辞めるのかも、ここからは分かりません。
僕は、「嫌なら辞めれば」と言われると、違うと思っていました。「仕事なんてそんなもの」で話が終わるのも嫌でした。どちらも話を、辞めるか我慢するかの二択にしてしまう、と今は思います。らんたんも、同じ言葉に引っかかっています。
僕は、収入と安定、それから自分の時間と、大事な人と過ごす時間を守りたいと思っていました。その一方で、先のことが楽しみに思えず、まだ使っていない力が自分にある気もしていました。
守りたいものがあるから、迷う
らんたんにも、守りたいものがあります。休みの日を安心して過ごせるのは、今の収入があるからです。人と会う時間も、ひとりの時間も、手放したくありません。失敗して収入が減ることや、慣れない仕事で毎日くたくたになることも、怖いんです。
続けたい気持ちと、試したい気持ちは、並んでいていい
らんたんのスマホには、短い動画や文章のアイデアを書きためたメモがありました。帰り道で目にとまったものを撮って、短くつなげる案です。まだ形にしていないのに、見返すと好きだと思えるメモでした。
心理学の研究に「可能自己」という言葉があります。なりたい自分や、なるのが怖い自分など、思い描く将来の自分の姿のことで、今の自分の見方や動く理由に関わるとされます。らんたんで言えば、同じ日を繰り返す10年後と、メモの中で何かを作る自分。どちらも、まだ決まった未来ではありません。
辞めるか、このままか。選べるのはそれだけ?
相談を聞く3人の見方は、それぞれ違います。めぇままが挙げたのは、今の職場で違う仕事を頼む道で、減らせる仕事も一緒に聞く、という条件つき。ぷにゃは、求人を読むだけでもいいと言い、ぱぱんは仕事の外の楽しみを聞きたがります。店を開いた自分にも心配は残る、とぱぱんは言い添えます。
変えるか変えないかのあいだにも、道はいくつもある
らんたんは、会社を変えたら何かが始まる気がしていたと気づきます。やりたかったのは「このメモのほうかもしれない」。
僕が気になっていたのは、自分のアイデアで作ることと、別の仕事で強みを生かすこと。選んだのは、仕事を続けながら別のことを始める道でした。作ること、発信すること、副業。僕の場合の話で、転職を選ぶ人もいます。
らんたんが選んだのは、仕事を続けたまま、土曜の午前に短い一本を形にすること。会社の中で仕事を減らせるかも聞き、別の仕事が気になったら外も見る、とも話します。
土曜は思ったほど進まなかったけれど、帰り道を撮った短いものは、ひとつにつながります。
次の日曜の夜、らんたんはまた予定帳を開きます。仕事の欄は先週と同じです。脇には、来週撮りたい坂道の小さな絵。できたものをぷにゃに送ると、あの坂道も見たい、と返事が届きます。
僕の仕事も、同じままです。それでも、明日が少し楽しみになりました。
僕にとって「このままでいいのかな」は、辞めたい合図というより、まだ試していないことがある合図だったと、今は思います。
出典・計算方法
52.6%は、マイナビ キャリアリサーチLab「転職動向調査2026年版(2025年実績)」から取りました。2026年3月23日の公表です。本調査の期間は2025年12月18日〜25日で、インターネットで行われました。
対象は、正社員として働く20〜50代のうち2025年に転職した人で、有効回答は1,446名です。52.6%は「とてもそう思う」と「まあそう思う」を合わせた割合で、辞めていない人の割合ではありません。停滞感が転職の理由や結果を示す数字でもありません。
可能自己の説明は、H. Markus と P. Nurius の論文「Possible selves」にもとづきます。掲載誌は American Psychologist 41巻9号(1986年9月)、954〜969ページです。DOIは https://doi.org/10.1037/0003-066X.41.9.954 。
可能自己は、将来の自分の像についての理論で、何が起きるかを予測するものではありません。調査のページは2026年9月29日に開き、論文の書誌情報も同じ日に確認しました。金額の試算はしていないため、税や手数料の計算は含みません。この記事は、あなたの将来を保証するものではありません。
動画「転職した同期がうらやましい。私も何か始めたい」の公開日は、2026年9月29日です。登場人物と相談の場面は、どちらも創作です。
あなたの落ち着かなさは、何を欲しがっているのでしょう。同期の新しい職場かもしれないし、まだ手をつけていない何かかもしれない。うらやましいと感じたところに、その手がかりがある気がします。
答えは、今出さなくていい。会社の中で違う仕事を頼めるか、今の仕事を減らせるかも一緒に聞いてもいいし、仕事は続けたまま小さく試してもいい。外の求人を、読むだけ読むのもひとつです。しばらく決めずに置いておくのも、選び方のうちだと思います。
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