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2026年9月15日

他人の収入で焦るのは、比べる基準を外から借りているからだと思います

同僚の年収を知った日や、誰かが投資している額を見た日に、あなたの口座の数字だけが急に小さく見えることはありませんか。残高は、昨日から1円も動いていないのに、です。

そのとき比べているのは、何と何なのでしょう。この記事で書きたいのは、比べる相手ではなく、比べるのに使っている物差しのほうの話です。

僕の見方を先に書きますね。焦りの大きさを決めているのは、金額の差より、基準をどこから借りてきたかのほうだと思います。

外から来た物差しを、僕も長く握っていました

20代から30代の前半にかけて、僕の頭にあったのは、贅沢がしたいという気持ちでした。貯金はなく、借金がありました。

車や時計やブランド品にお金が向いていたのも、そのころです。

平均を物差しにすると、真ん中の人が下に回ります

物差しの話を、数字で一度だけ見ておきます。厚生労働省が2026年3月に発表した賃金の調査から、同じ定義の値を2つ借りてきますね。

一般労働者の所定内給与額、つまり残業代や賞与を除いた月ぎめの給与は、平均で34.06万円でした。

同じ調査で、金額順に並べたときの真ん中の値、つまり中央値は29.66万円です。

差は月4.4万円あります。平均のほうが高く出るのは、上に離れた少数の人が全体を引き上げるからなんです。

だから平均を物差しにすると、真ん中に立っている人まで「足りない」側に回ります。届かない人のほうが多くなる基準を、外から借りていることになりますよね。

この数字に入っていないものも多いです。賞与も残業代も、資産も副収入も、家族の収入も含まれていません。短い時間で働く人は、そもそも対象から外れています。

基準に使う数字は、たいてい誰かが引いた線の内側にあります。どこまでを給与と呼ぶか、誰を数に入れるか。その決め方だけで、真ん中の位置は動きますよね。

全国を集めた数字なので、あなたの給与明細にそのまま出てくる額でもありません。

あの人の数字には、何がついてきているのでしょう

年収も、投資している額も、外から見えるのは金額だけですよね。その人が何人を養っているのか、どこに住んでいるのか、どんな経緯でその額になったのかも、たいていは見えません。

その人の穏やかさも、金額の外にあると思います。仕事で資産のある方と同じ時間を過ごしていて、額の大きさとは別に動くのだと感じます。

基準を借りるというのは、金額だけを借りて、条件のほうは置いてくることなのだと思います。

焦りが出てくるとき、僕はだいたい、自分の外にある物差しを握っています。

本を1冊読んで、貯める基準を入れ替えました

読んだのは『サイコロジー・オブ・マネー』です。1〜3年前に、紙の単行本で手に取りました。

読んだあと、貯める側の見方を「収入−自我」に置き直しています。増やすのをどこで止めるか、その線もそのときに決めました。線の額そのものは伏せます。

本から借りたのは、金額ではなく数え方のほうでした。僕の額をここに書いたところで、あなたの物差しにはならないからです。

本のどこが刺さったかはこの本の記事に書きました。

置き直したから比べなくなった、という話ではありません。僕自身、まだ学んでいる途中にいます。

ここからは、あなたの物差しの話です

比べてしまう自分を、責めなくていいと思います。金額が見えれば目が行くのは、僕も同じですから。

代わりにできることを1つだけ挙げます。画面を閉じたあとに、自分の側の数字を1行だけ書き出す、という手です。来月の生活費でも、口座の残高でもかまいません。

比べるのをやめられなくても、どの物差しを握るかは自分で選べると、僕は思っています。

出典・計算方法

数字は厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査の概況」から取りました。2026年3月24日に発表された資料を、2026年9月8日に開いて書き写しています。2026年9月時点で、これが最新の調査です。

対象は2025年6月分の所定内給与額です。一般労働者、つまり短い時間で働く人を除いた常用労働者の、男女計・企業規模計の値になります。全国の主要16産業に属する事業所を抽出した調査です。所定内給与額は、時間外や深夜などの手当を引き、所得税などを控除する前の額を指します。

賞与・残業代・副収入・資産・世帯の収入は、この数字に入っていません。平均と中央値の差である月4.4万円は、同じ表の2つの値を引いただけの数字です。将来の賃金や、あなたの手取りを約束するものではありません。統計はこれからも更新されます。

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