2026年9月7日
分配金で月1万円。利回りと口座で変わる元本の早見表
※本記事には広告(アフィリエイトリンク)を含みます。
僕が持っているのは、米国の高配当ETFです。置き場所はSBI証券の特定口座。
選ぶとき、値上がりの見込みは判断材料にしていません。口座へ実際に入ってくるお金のほうを見て、こちらにしました。VYM、HDV、JEPI、SPYD。SCHDは、それに連動する投資信託の形で持っています。
分配金の話で、よく見かける計算があります。「利回り4%なら、300万円で年12万円」。
ここには税が入っていません。
米国のETFの分配金は、米国で一度引かれ、日本でもう一度引かれます。額面100が手元に届くころには、71.7まで減っている計算です。同じ「月1万円」でも、要る元本は増えます。
米国の高配当ETFに興味はあるけれど、いくら要るのかが見えずに止まっている人に向けて書きます。月1万円に必要な元本を、利回り・口座・目標額・為替の順に動かします。使うのは割り算がひとつと、早見表が2つ。
読み終わったとき、あなたの元本の目安が1つ出ます。
今回の架空モデル
この試算で置いた条件です。
- 受け取るのは米国ETFの分配金だけ。値上がり益は数えません
- 米国での源泉徴収は10%(日米租税条約、SBI証券の解説より)
- 特定口座は源泉徴収ありの前提。確定申告をしない場合の手取りを出します
- 国内の税は20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%+住民税5%。国税庁タックスアンサーNo.1330・令和7年4月1日現在法令等)
- NISAの成長投資枠は国内分が非課税。米国の10%はかかります(SBI証券のよくある質問より)
- 売買手数料・信託報酬・為替手数料・確定申告の手間と費用は数えません
- 利回りは変数として動かします。過去の実績も、将来の分配も保証しません
※制度や選択肢を比べるための架空の条件です。実在の人物・数値ではありません。
年12万円を、利回りと手取り率で割る
月1万円は、1年で12万円です。必要な元本は、ここから逆算できます。
使う式はこれだけ。
必要な元本 = 1年で受け取りたい額 ÷(利回り × 手取り率)
手取り率は、額面のうち手元に残る割合のことです。
特定口座で米国のETFを持つと、まず米国で10%が引かれて90になります。そこへ国内の20.315%がかかり、残るのは71.7。細かく書くと71.7165で、手取り率にすると0.7172です。
利回り4%、特定口座。この条件で年12万円を受け取るには、418.3万円の元本が要りました。
税を入れない計算なら300万円。二段階の税を通すと418.3万円になります。この差が、税のぶんです。
| 計算のしかた | 月1万円に要る元本(利回り4%) |
|---|---|
| 税を入れない | 300.0万円 |
| 米国10%と国内20.315%を通す | 418.3万円 |
差は118.3万円。手取り率で割るぶんだけ、元本の側が重くなります。
規模感も置いておきます。総務省の家計調査(2026年7月分の速報)では、二人以上の世帯の消費支出は1世帯あたり301,245円。月1万円は、その約3.3%にあたります。平均であって、あなたの家計の数字ではありません。
利回りを2%から5%まで動かす
口座と目標はそのままにして、利回りだけを動かします。
利回り2%なら836.6万円。3%で557.8万円。4%はさきほどの418.3万円で、5%まで上げると334.7万円になります。
2%と5%のあいだで、必要な元本は約500万円ひらきました。
| 利回りが1ポイント上がると | 必要な元本の減り方(特定口座) |
|---|---|
| 2%→3% | 278.8万円 |
| 3%→4% | 139.5万円 |
| 4%→5% | 83.6万円 |
効き方は一定ではありません。2%から3%へ上がったときの差は278.8万円。4%から5%では83.6万円です。割り算なので、利回りが低いところほど元本が大きく振れます。
利回りの低い商品を避けたほうがいい、という話ではありません。低いほうで元本が重くなる、という計算の性質です。
実際の利回りは、どのあたりにあるのか
数字は運用会社の公式ページに出ています。HDVの30日SEC利回りは3.42%(2026年7月31日時点)。SPYDは4.25%(2026年9月3日時点)でした。
オプションを売る戦略を組み込んだJEPIは7.88%(2026年7月31日時点)。商品の性格の違いが、そのまま数字に出ます。高い低いの優劣ではありません。
HDVとSPYDは、この記事の表の2%から5%の幅に入ります。JEPIの7.88%は幅の外なので、表には当てはめていません。
どれも過去の実績です。将来の分配を約束する数字ではありません。この記事で利回りを2%から5%の幅で動かしているのは、そのためです。
VYMとSCHDは、公式ページで利回りの数値を確認できませんでした。数字を書いていないのは、取れなかったからです。
同じ月1万円でも、口座で85万円変わる
次は口座です。利回りは4%に固定します。
NISAの成長投資枠なら、国内の20.315%はかかりません。米国の10%だけが引かれるので、手取り率は0.9000になります。
必要な元本は333.3万円。特定口座の418.3万円より、85万円軽くなりました。
利回りごとに並べると、こうです。
| 利回り | 特定口座(手取り率0.7172) | NISA成長投資枠(手取り率0.9000) |
|---|---|---|
| 2% | 836.6万円 | 666.7万円 |
| 3% | 557.8万円 | 444.4万円 |
| 4% | 418.3万円 | 333.3万円 |
| 5% | 334.7万円 | 266.7万円 |
横に見ると、どの行でもNISAのほうが約2割軽くなります。手取り率の比がそのまま出るので、利回りが変わっても、この割合は動きません。
NISAには上限があります。生涯で非課税に置ける総枠は1,800万円、そのうち成長投資枠は1,200万円まで(金融庁のNISA特設ウェブサイト)。この表のNISAの列は、どれもその中に収まります。
僕のNISAは楽天証券にあります。入金元は楽天銀行です。
NISA口座を先に作ったのが楽天証券で、以来そのままにしてきました。あとからSBI証券を足したのは、投資信託の品ぞろえに引かれたからです。
設計してこの形にしたわけではありません。順番の結果です。
口座を役割で分ける話は、楽天証券とSBI証券の使い分けの記事に書きました。
目標を月3万円・月5万円へ上げる
三つ目の変数は、受け取りたい額です。利回りと口座は動かしません。
月1万円で足りる人ばかりではないので、月3万円と月5万円も並べました。利回りは3%と4%、口座は特定口座とNISAの成長投資枠。この4通りで、目標だけを3段に変えた表です。
利回り2%と5%が要るときは、さきほどの式に入れれば同じように出ます。
| 1か月の目標 | 特定口座・3% | 特定口座・4% | NISA・3% | NISA・4% |
|---|---|---|---|---|
| 1万円 | 557.8万円 | 418.3万円 | 444.4万円 | 333.3万円 |
| 3万円 | 1,673.3万円 | 1,254.9万円 | 1,333.3万円 | 1,000.0万円 |
| 5万円 | 2,788.8万円 | 2,091.6万円 | 2,222.2万円 | 1,666.7万円 |
目標が3倍になれば、元本も3倍。式が割り算なので、ここは素直に比例します。
注記をひとつ。NISAの成長投資枠は生涯1,200万円までです。この表では、月3万円の利回り3%と、月5万円の2つの行が枠を超えます。
1,333.3万円・2,222.2万円・1,666.7万円の、あわせて3つです。成長投資枠だけでは積み立てきれません。
逆から見ることもできます。いま元本が500万円あるとして、利回り3%・特定口座なら年間の手取りは107,575円。12で割ると8,965円です。
同じ500万円でも、NISAなら年135,000円で、1か月あたり11,250円になります。利回りが4%まで上がると、特定口座で11,953円、NISAで15,000円です。
口座と利回りがちがうだけで、同じ500万円の受け取りは8,965円から15,000円まで動きます。
元本500万円・利回り4%・NISAの成長投資枠なら、1か月あたり
15,000円
特定口座・利回り3%なら8,965円。同じ500万円でも、ここまで動きます
手取りを動かす、あと2つ
利回り・口座・目標額のほかに、手元に残る額を動かすものが2つあります。順に見ます。
円高になると、手取りも同じ割合で減る
分配金はドルで入ります。円に替えるところで、為替が効きます。
仮のシナリオを置きます。1ドル150円が135円になったとしましょう。下げ幅は10%です。
このとき、円で受け取る税引き後の金額も、ちょうど10%減ります。
計算がぜんぶ掛け算だからです。米国で0.9倍、円に替えるときのレートを掛け、国内で0.79685倍。順番を入れ替えても答えは変わらないので、レートの変化率がそのまま手取りに出ます。NISAでも同じ理屈です。
| 1ドル | 額面100ドルの分配金の手取り(特定口座) | 同(NISAの成長投資枠) |
|---|---|---|
| 150円 | 10,757円 | 13,500円 |
| 135円 | 9,682円 | 12,150円 |
どちらの口座でも、減り方は同じ10%です。
150円から135円という数字は、動きの大きさを見るために置いた仮のものです。いまの相場とは別のものとして読んでください。2026年9月4日の日本銀行「外国為替市況」では、ドル円の中心相場は156.00円でした。
利回りが4%のままでも、円が1割高くなれば受け取りは1割減ります。早見表の元本は、為替が動かない前提で出した数字です。
外国税額控除で戻る分には、上限がある
米国で引かれた10%は、特定口座なら確定申告で一部が戻ることがあります。国税庁のタックスアンサーNo.1240にある外国税額控除です。
戻せる上限は、その年の所得税額に「調整国外所得金額 ÷ 所得総額」をかけた額まで。所得の状況で、人ごとに変わります。
仮に米国の10%がまるごと戻ったとしても、手取り率は0.7172から0.7969まで。0.80には届きません。ここが上限の目安です。
| 口座と申告 | 手取り率 |
|---|---|
| 特定口座・控除なし | 0.7172 |
| 特定口座・控除を上限まで使えた場合 | 0.7969 |
| NISAの成長投資枠(控除は使えない) | 0.9000 |
どこまで近づくかは、その年の所得や他の控除で決まります。断定はできません。申告には明細書などの添付も要ります。
NISAでは、この控除は使えません。国内で引かれた税がないので、差し引く先がないからです。
利回り・口座・為替・外国税額控除の4つを並べると、いちばん大きく動くのは利回りでした。2%と5%で約500万円。次が口座で85万円。外国税額控除は手取り率を0.0797押し上げるだけで、為替は自分では動かせません。
利回りは、約束ではありません
早見表の数字は、利回りを固定したときの答えです。実際の分配金は増えることも減ることもあります。基準価額も動きます。
減配があれば、同じ元本でも受け取りは下がります。増配なら上がります。表の数字は、その利回りが続いたと仮定したときの目安にすぎません。
| 元本418.3万円のまま、利回りが | 1か月の手取り(特定口座) |
|---|---|
| 3%に下がる | 7,500円 |
| 4%のまま | 10,000円 |
| 5%に上がる | 12,500円 |
元本は同じでも、利回りが1ポイント動くと月2,500円動きます。表の元本は、この揺れを含んでいません。
元本の目安が出たあとに、もうひとつ決まらないことが残ります。どこまで増やせば、自分は足りるのか。この割り算では、そこは出せません。
僕がその線を引くときに使ったのは、計算ではなく1冊の本でした。
僕が使っているもの(読んだ本)
モーガン・ハウセル『サイコロジー・オブ・マネー』(ダイヤモンド社)。紙の単行本で、1〜3年前に読みました。手順や数字は少ない本だと、僕は感じました。元本の計算は、この本では出てきません。
読んだあとに変えたのは2つ。貯める基準を「収入−自我」で考えるようになったこと。「これ以上は増やさなくていい」資産の目安額を決めたことです。
金額はここには書きません。決め方は、この本のレビューに書きました。
| この本が | |
|---|---|
| 向く人 | 元本の数字が出たあとで、「足りる」の線を自分で引きたい人 |
| 向かない人 | いま必要なのが元本の数字だけの人。手順や商品名を探している人 |
元本の数字だけなら、この記事の表で足ります。
楽天ブックスで見る(広告)
2026年9月時点の情報です。扱っている版と在庫は、販売ページで確かめてください。
買う:上のリンクから、版と条件を見る。
買わない:この記事の早見表と、運用会社の公式ページで足ります。図書館の蔵書検索で探すこともできます。
後で決める:自分の元本を先に出してから、読むかどうかを決める。
どれを選んでも、この記事の役目は変わりません。
この早見表が合わない場合
数字が出ても、当てはまらない場面があります。
- 生活の予備がまだ手元にない人。先に要るのは、すぐ使える現金のほうです。
- 数年以内に使う予定のお金を回そうとしている人。分配金より先に、元本が動きます。
- 値上がり益を取りにいきたい人。この表は、分配金だけを数えています。
当てはまる人は、ここで閉じて大丈夫です。
答えが動く条件も並べておきます。
| 変わるもの | 早見表のどこが動くか |
|---|---|
| 分配金が減る | 利回りの行が下にずれる |
| 円高が進む | 円で受け取る手取りが減る |
| 税率や非課税の枠が変わる | 手取り率そのものが変わる |
分配金が減れば、利回りの行が下にずれます。円高が進めば、減るのは手取りのほうです。国内の税率や非課税の枠が変われば、手取り率そのものが変わります。
早見表は固定された答えではなく、条件を入れ替えるための道具です。
僕がこの数字をどう見ているか
20代から30代の前半まで、僕の口座にお金は残りませんでした。ギャンブルと、その場の買い物。借金もありました。貯金はゼロです。
ほしかったのは「お金持ち」という状態でした。車、時計、ブランド品。それで自分を示そうとしていた時期があります。
お金の勉強を始めてから、考え方が変わりました。いまは、増やす速さより、静かに整えるほうを選んでいます。
分配金を選んだのも、その延長にあります。額が小さくても、現金として口座に残る。そこが自分には合っていました。
この表で最初に触るなら、僕は口座を見ます。利回りは自分では決められません。口座なら決められます。あなたが最初に触る変数は、別でかまいません。
次が目標額です。月1万円が重ければ、目標を下げたぶんだけ、必要な元本も同じ割合で下がります。
為替は動かせない変数です。だから表の数字は、円高の年もあるものとして読んでいます。
利回り4%・特定口座で、月1万円に要る元本
418.3万円
年12万円 ÷(4% × 手取り率0.7172)。利回りも為替も動く前提の目安です
弱いところも書いておきます。分配金は受け取るたびに課税されるので、そのぶん再投資へ回せる額が減ります。値上がりの取り分も、この表では数えていません。
利回り4%・特定口座で数えると、月1万円は418.3万円でした。
これは僕の選択です。正解ではありません。選ぶのはあなたです。
出典・計算方法
数字の出どころと、この試算の前提です。ページを開いた日は、すべて2026年9月7日。
- 上場株式等の配当にかかる国内の税20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%+住民税5%): 国税庁タックスアンサーNo.1330(令和7年4月1日現在法令等) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1330.htm
- 外国税額控除の控除限度額の式と、明細書などの添付: 国税庁タックスアンサーNo.1240(令和7年4月1日現在法令等) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1240.htm
- 米国株式・米国ETFの配当に対する米国での源泉徴収10%と、国内20.315%の二段階: SBI証券のよくある質問(ページに更新日の表記なし) https://faq.sbisec.co.jp/answer/5f1559c329ee940011749770/
- 特定口座(源泉徴収あり)でも確定申告で外国税額控除を受けられること: SBI証券「外国税額控除について」(更新日の表記なし) https://search.sbisec.co.jp/v2/popwin/info/home/pop690_koujyo.html
- NISA口座の外国株式・米国ETFの配当は国内非課税・米国10%は課税・外国税額控除は使えないこと: SBI証券のよくある質問(更新日の表記なし) https://faq.sbisec.co.jp/answer/5ee6cc8650df50001220760f/
- 成長投資枠の年間投資枠240万円、生涯非課税保有限度額1,800万円のうち成長投資枠1,200万円: 金融庁 NISA特設ウェブサイト「NISAを知る」(更新日の表記なし) https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/know/index.html
- HDVの30日SEC利回り3.42%(2026年7月31日時点): iShares公式の商品ページ https://www.ishares.com/us/products/239563/ishares-core-high-dividend-etf
- SPYDの30日SEC利回り4.25%(2026年9月3日時点): State Street Global Advisors公式 https://www.ssga.com/us/en/intermediary/etfs/state-street-spdr-portfolio-sp-500-high-dividend-etf-spyd
- JEPIの30日SEC利回り7.88%(2026年7月31日付のファクトシート): J.P.モルガン・アセット・マネジメント https://am.jpmorgan.com/content/dam/jpm-am-aem/americas/us/en/literature/fact-sheet/etfs/FS-JEPI.PDF
- ドル円の中心相場156.00円(2026年9月4日分): 日本銀行「外国為替市況」 https://www.boj.or.jp/statistics/market/forex/fxdaily/fxlist/fx260904.pdf
- 二人以上の世帯の消費支出301,245円(2026年7月分の速報・2026年9月4日公表): 総務省統計局「家計調査報告」 https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf
- VYMとSCHDは、公式ページで分配金利回りの数値を確認できませんでした。本文に数字がないのは、そのためです。
- 計算の前提: 必要な元本は「1年間の税引き後の分配金が目標額と等しくなる金額」。円未満を切り上げてから万円に直し、小数第1位で四捨五入しています。手取り率は丸める前の値(特定口座0.7171650・NISA0.9)で計算しました。
- 数えていないもの: 売買手数料・信託報酬・為替手数料・確定申告の手間と費用・値上がり益・物価の変動。
- 1ドル150円から135円への変化は、感度を見るために置いた仮のシナリオです。実勢のレートとは別のものです。
- 利回りは過去の実績であり、将来の分配や元本を保証するものではありません。制度と税率は変わります。最新は各社の公式ページと国税庁・金融庁のページで確認してください。この記事は特定の商品や口座の勧誘ではありません。