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2026年8月12日

年収が50万円上がると、手取りは月いくら増える?年収帯べつの早見表

額面が50万円上がっても、振り込まれる金額が50万円増えるわけではありません。

残るのは、おおよそ7割です。年収帯によって、その割合は約75%から約65%まで動きます。

1か月に置き換えると、増えるのは約27,100円から約31,300円。まずはこの幅だけ持って帰ってもらえたら、この記事の役目は半分終わりです。

僕は長いこと、額面のほうで暮らしを組み立てていました。口座に入る数字とのずれに気づくのが、ずいぶん遅かった。

増えないのではなく、増え方が静かなだけだと、僕は思っています。

ここから並べるのは、年収350万円から650万円までの4段階です。会社員のあなたが、自分に近い行を1つ選べる形にしました。

今回の架空モデル

前提は次のとおりです。43歳の会社員、勤務地は東京都(協会けんぽ)。年収550万円が600万円になる想定。独身で扶養する家族はおらず、住宅ローン控除のような大きな差し引きもありません。社会保険料は、年収に一律15.5%をかける簡易計算です。

※制度や選択肢を比べるための架空の条件です。実在の人物・数値ではありません。

50万円上がったら、手取りは月いくら増える?

年収帯によって、約32.5万円から約37.5万円までです。

上がり幅が同じ50万円でも、手元への残り方は年収の水準でずれます。

下の表は、いちばん右の列だけ見てください。額面のうち、手取りとして残る割合を出しています。

自分の年収にいちばん近い行を、1つだけ選んでもらえれば十分です。

今の年収 上がったあと 手取りの増加 月あたり 額面のうち残る割合
350万円 400万円 約37.5万円 約31,300円 約75%
450万円 500万円 約35.6万円 約29,600円 約71%
550万円 600万円 約35.7万円 約29,800円 約71%
650万円 700万円 約32.5万円 約27,100円 約65%

350万円台の人は約75%、650万円台の人は約65%。同じ50万円でも、毎月に直すと4,000円あまりの差になります。

450万円台と550万円台がほぼ並ぶのは、控除の切り替わりがこの区間に入るからです。

真ん中の行、550万円から600万円を取り出します。この記事の基準にする数字です。

50万円の昇給で、手取りで増える額

約35.7万円

毎月なら約29,800円。43歳・東京都勤務のモデルで、2026年8月時点の料率による試算

50万円のうち、手取りは約35.7万円。割合でいえば71.5%です。

「思ったより少ない」と受け取るか、「毎月3万円弱は増える」と受け取るか。ここは分かれるところだと思います。

増えた分は、どこへ行く?

行き先は、社会保険料と所得税と住民税の3つ。年収550万円が600万円になる場合の内訳を出します。

手取りとして残るのが約35.7万円、社会保険料が約7.8万円。所得税が約3.3万円で、住民税が約3.2万円。足すと50万円になります。

増えた分をいちばん削るのは、税ではなく社会保険料でした。

社会保険料の中身は4つ。健康保険、介護保険、厚生年金、雇用保険です。会社員なら、はじめの3つは会社と半分ずつ出しあう形。雇用保険は会社側の負担のほうが大きくなります(協会けんぽ、厚生労働省)。

そこへ、健康保険料と一緒に集められる子ども・子育て支援金が少しだけ加わります。

折半でも、本人の負担は年収のおよそ15.5%。所得税と住民税の合計より、社会保険料のほうが大きくなります。

早朝の小さな駅のホーム。まっすぐ伸びる線路と木のベンチに、朝の光が差している

年収が高いほど、残る割合は下がる?

おおむね下がります。ただし、きれいな一直線ではありません。

割合が下がる理由は、3つ。ひとつめは、所得税の税率が段階で上がっていくことです。

ふたつめは、年収660万円で給与所得控除の計算式が切り替わること。給与所得控除とは、必要経費のかわりに年収から自動で引かれる枠のことです。

みっつめは、所得が増えると基礎控除の金額が下がること。基礎控除とは、だれにでも認められる差し引きです。

働くほど不利になる、という話ではありません。増えた分にかかる引かれ方が、少しずつ強まるだけです。

らんたん

比べる相手を、まちがえてた。
同期の年収でも、平均でもなくて。
去年の自分の手取りだったんだ。

なぜ翌年に、手取りが減って見える?

住民税が、1年おくれて届くからです。

住民税は前の年の所得をもとに決まり、翌年の6月から新しい金額に変わります。昇給したその年は、まだ上がりません。

つまり昇給の年だけ、手取りは少し多めに増えます。引かれるのは、その次の年。

時期べつに並べると、こうなります。

時期 手取りの増え方(月あたり) 増えているもの
昇給した年 約32,500円 社会保険料・所得税
翌年の6月から 約29,800円 +住民税

※社会保険料は、新しい年収で計算し直したあとの金額です。

差は毎月約2,700円。金額そのものは小さくても、「去年より減った」と感じる引き金になります。

減ったわけではありません。住民税が、1年おくれて追いついただけです。

心当たりがあるなら、6月分の給与明細を前の月と並べてみてください。

夜の窓ぎわの机。クリップボードに留めた無地の紙と万年筆、湯気の立つマグが置かれている

残りの3つの疑問に、短く答えます

40歳になると、手取りは減る?

昇給がなければ、少し減ります。40歳から64歳までは、介護保険料が上乗せされるからです。

年収550万円で、本人の負担は年に約44,500円。1か月あたり約3,700円になります。

40歳になった年は、多少の昇給があっても「増えた気がしない」ことが起こりえます。増えた分と、引かれ始めた分が同じ年に重なるためです。この記事のモデルは43歳なので、その分はすでに入っています。

自営業やフリーランスでも、同じように考えていい?

同じようには考えられません。入る制度が違うからです。

会社員が入るのは健康保険と厚生年金。保険料は会社と分けあいます。

自営業とフリーランスが入るのは国民健康保険と国民年金。保険料は原則として全額が自己負担です。雇用保険という仕組みもありません(厚生労働省、日本年金機構)。

15.5%という割合は、会社員のための数字だと思ってください。

この早見表が当てはまらないのは、どんな人?

控除が大きい人と、働き方が違う人です。

住宅ローン控除やiDeCoの掛金が大きければ、税の引かれ方は小さくなります。扶養の範囲で働く人に必要なのは、別の見方です。

健康保険の料率は都道府県や健保組合で違うので、表とは多少ずれます。

出典・計算方法

参照時点は2026年8月です。
・健康保険料率9.85%、介護保険料率1.62%、子ども・子育て支援金率0.23%。
・出典は全国健康保険協会(協会けんぽ)令和8年度保険料額表 東京支部。いずれも労使折半。健康保険と介護保険は令和8年3月分から、支援金は令和8年4月分から適用。
・厚生年金保険料率18.300%(労使折半・平成29年9月分から)。
・雇用保険料率=厚生労働省 令和8年度(2026年4月1日〜2027年3月31日)。一般の事業の労働者負担は5/1,000。
・給与所得控除、基礎控除、所得税の速算表=国税庁(令和7年4月1日現在法令等)。基礎控除は令和7年分・令和8年分の特例をふくみます。
・住民税は所得割10%、基礎控除43万円。

計算に入れていないもの:
・社会保険料は年収に一律15.5%をかける簡易計算(5.735%+0.115%+9.15%+0.5%)。標準報酬月額の等級と上限は考えていません。
・扶養控除、生命保険料控除、住宅ローン控除は無いものとしました。住民税の調整控除と均等割も入れていません。所得税には復興特別所得税2.1%を含みます。
・年収800万円あたりから、厚生年金保険料に上限がはたらきます。それより上の年収では、表よりも手取りが多く残ることがあります。
・基礎控除の上乗せは令和7年分と令和8年分の特例。令和9年分からは金額が変わるので、増え方も変わります。
・制度と料率は更新されます。将来を保証する数字ではありません。

額面ではなく、手取りで想像する

  • 額面の増加分に7割をかけると、手取りの増え方の見当がつきます。年収が高めの人は65%寄りで見ておくとよいでしょう。
  • 増えた分を削るのは税より社会保険料です。給与明細の「控除」の欄に、その内訳が並んでいます。
  • 増え方が一段落ちるのは翌年の6月です。同じ年収のままでも、そこで住民税が追いつきます。

増えた分の使い道は、お金の使い方をまとめた回で別に整理しました。

50万円上がると聞いたら、毎月およそ3万円。額面ではなく、この数字で暮らしを想像してみてください。